[三]
先日の新聞でグ リ ーン車(绿色车厢) のなかで子供に騒がれて不快な思いをし た一人の乗客が、 「親の教育がなっ てない」 、 「注意し ないこと が教育の一つと 勘違い(误解) し ている 」 などと 主張し 、 「 JR は 禁ガキ車を作る べき だ」 と 提案し ていた。
彼は 、 静けさ 、 快適さ を求めて高いカネを払いグ リ ーン車に乗っ た。 し かし 、 たま たま う る さ い子供がそのグ リ ーン車に乗り 合わせていて、子供がう る さ く し ている のに一緒にいた母親は 全然注意をし なかっ たそう だ。 「禁ガキ」 と いう 言葉を使っ ている と こ ろをみる と 、 よ ほど頭に来たのだろう 。
私の場合平均的なサラリ ーマンなので、 旅行する 時は いつも 普通車だが、 同じ よ う に車内で子供が結構大き な声で騒いでいる 場面に出会し たこ と が何度かある 。 こ う いう 場合、 アメ リ カでは 親が静かにする よ う に厳し く 注意し 、 それでも 子供が言う こ と を聞かない時には 、 他の乗客に迷惑がかから ないよ う に車両の外に連れて行く 。
同じ よ う なこ と が起っ た時日本では 親がどう 反応する かと 親の態度に注目し て様子を見る が、 厳し く 親が子供を叱る 場面は 数少ない。 口では「( ① ) 」 と 言っ て注意する が、 本当に静かになる ま で徹底的に叱る こ と は ま ずない。 子供は 一時的に静かになる が、 し ばら く する と ま た前と 同じ よ う に騒ぎ始める 。 私には 、 親が「( ② ) 」 と 考え、 あま り 注意せず、 乗り 合わせた乗客も 「( ③ ) 」 と 考えて騒がれても 何も 言わないよ う に思える 。
し かし 、 子供が車内で他の乗客に迷惑をかけている のを、 「子供だから 」 と いう 理由で許し たら 、 それは 子供と 親の乗客に対する 甘えを許すこ と になる のでは ないだろう か。 も ちろん子供は 人のこ と を考えずに騒いだり する こ と がよ く ある 。 親が注意し ても き かないこ と も よ く ある 。 家庭などの個人の場での話なら それは 一向に構わない。 と こ ろが電車のなかと いう 「公共の場」 では どう だろう か。 読書を楽し んでいる 人、 一時的に仕事から 解放さ れ、 快い睡眠を貧っ ている 人、 外の景色を味わっ ている 人など数多く の乗客に対し て大声で騒いだり 、 車内を走り 回っ たり し て迷惑をかけたら 、 それは 子供の責任だけでは なく その子供の親の責任でも ある 。 いや、 子供の責任よ り も むし ろ子供が乗客に迷惑をかけている のを厳し く 注意し ない親の怠慢が強く 追及さ れる べき では ないだろう か。 口で言い聞かせる 、 それでも だめなら 子供を車両の外へ連れ出すなどし てその場を収める 、 どんなに厳し く 注意し ても 聞かないよ う なら 今後電車での旅行は さ せない。 親と し てそのく ら いのこ と をする のは 当然だ。
(速水健次郎「辛ロ エッ セイ 」 よ り )
文中の「禁ガキ車」 と は どのよ う な列車か。