問題11 次の(1)から(3)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいも のを、A.B.C.Dから一つ選びなさい。
(2)
若いときは二度ない— と言う。だから、若い時代を大事にせよ、といった意味で ある。
なるほど、その通りである。だが、皮肉屋のわたしは、このことばに反論したい。 確かに若いときは一度しかないが、中年だって、老年だって一度しかないのである。 われわれは若い時代を大事にすべきであるが、同様に中年を大事にすべきであるし、 老年を大事にしなければならない。①若い時代だけを特別視する必要はないのであ る。
私自身は先ごろ、五十三歳になった。昔の呼称だと、もう立派な「老年」である。だ から、ひがんでいっているのではない。わたしは、老年には老年のよさがあると思っ ている。(中略)人生のそれぞれの段階には、それぞれに違った。人生のこくがある。 わたしはそう思っている。わたしたちはそれぞれの段階に特有な人生の喜びと悲し みを味わいながらいきたい。
(②)、どうして若い時代だけが特別視されるのか!?わたしには不思議だある。思 うに、人々は若い時代を準備段階と考えるようだ。若い時にしっかりと学問や体験 の蓄積をしておかないと、後になって困る。だから、若いうちから遊びほうけていて はいけない。 と、結局は、若者に自制と禁欲を呼びかけているのである。
でも、わたしは、③それはまちがいだと思う。若い時代に、若い時代に特有の人生 の喜び •悲しみを体験しておかないと、中年や老年になって、その段階での人生の喜 び •悲 し み が ?味わえない。若者はそのことを銘記すべきである。
①「若い時代だけを特別視する必要はない」とあるが、それはなぜか。